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日本シリーズのおもひで

 生まれて初めて野球場へプロ野球を観に行ったのは、弟がまだいなかったので、小学校に上がる前のことだと思う。両親と後楽園球場へ巨人戦を観に行った。
 40年前のことなので、覚えていることは断片的な2つの出来事だけだ。
 暗い階段を上って薄暮の空にナイター照明が輝くスタンドに出た瞬間、「うぉーん」という歓声に体を包まれ、目の前をライナーの低い弾道でボールが飛んで行った。はるか遠くのホームベース方向を見ると、赤い手袋が見えた。巨人の柴田が先頭打者ホームランを打ったのだ。ナイター照明に映える手袋の赤を鮮烈に記憶している。
 試合が終わり球場を出た途端、スコールのような大雨が降り出した。両親と球場の近くの軒先で雨宿りをしていると、大きな男が雨を避けるために駆け込んできた。真上を見上げると、大男は長嶋だった。両親は気づいていないようだ。
 しばらく、うちの家族と長嶋の4人で黙って雨宿りをした。長嶋は空を見上げてから、雨の中を飛び出して走り去った。母親が大きく息を吐き、「あんなに背が高かったんだ」と言ったのを覚えている。
 やはり幼いころ、両親と銀座へ行ったときのことだ。当時、日曜の銀座は人であふれかえっていた。なにか周囲の人たちがざわめいているので見ると、雑踏から頭一つ飛び出た大男が、「やあやあ」という感じでにこやかに周囲に愛想をふりまきながら歩いている。その男にだけ、まるでスポットライトが当たっているかのように明るく輝いて見えた。「金田だ。金田正一だよ」。無口な父が興奮しているのが不思議だった。
 ルーキーのころの清原を渋谷で見たことがある。渋谷なんかを歩いていれば、たちまち野次馬に囲まれる。清原はそうした野次馬の一人一人に丁寧に頭を下げてサインに応じ、握手をして、真剣な表情で質問に答えていた。
 西武の石毛が近所に住んでいたことがある。毎晩、家の前の道路で素振りをしていた。素振りは普通、「ブンブン」という音がするが、石毛の素振りは「ヒュンヒュン」という音がした。当時はもう高校生で野球をしていたので、よっぽどバッティングのコツを聞こうかと、何度も思ったのだが、それはなにか絶対にいけないような気がして、素振りする姿をこっそりと眺めたものだ。
 日本シリーズには家族で行く。下の息子にとっては初めての野球観戦だ。
 彼は何を感じるのだろうか。


        

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